強欲<Geiz>
「宵闇の風に揺れる 愉快な黒いブランコ」
ぶらん。 ぶらん。 風吹きゃ ぶらん。
踊るよ、黒いぶらんこ......。
「君は何故この境界を越えてしまったのか
さぁ、唄ってごらん」
おらは貧しい村に生まれ いっつも腹を空かせてた
お菓子で出来た家があったら あったら本当に良かんべなぁ
「人は信仰によってのみ救われる」と
偉い坊さんが言ったとさ 本っていうのに書いたとさ
神様が助けてくれるなら たらふく飯<おまんま>食えっぺな
お父達は鎌を手に 出掛けて行った
その日の空の色 哀しい程に朱く......
「みんな、行くどー!」
「ゲーフェンバウアー将軍に、続けェ!」
大砲が吼えりゃ 「翼もないのに」 人が空を飛び 「軽やかに高く」 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
嗚呼 武器が農具じゃ 「残念だけれど」 射程が短か過ぎた 「残酷な程に」 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
村の働き手は 結局その殆どが 二度とは帰って来なかった......
そしておらは、遠くの町へと売られた。
<ドイツ語>
年齢不詳。性別も不詳。出遇えば不祥。正に人生の負傷。
胡散臭い女将が、夜な夜な暗躍する宿屋。
その名を【黒狐亭】という!
「薹が立って久しい、クソババアが独り。
図太く生きてゆくには、綺麗事ばかりじゃ......ないわよっ!」
「愛した男は、皆儚く散った。運が悪いのか、時代が悪いのか......」
「嗚呼【Müntzer】は気高く、
【Hutten】は華麗で、
【Sickingen】は、嗚呼、誰よりも激しかったわ♡」
「おう、邪魔をするぞ」
「邪魔するなら帰れ」
「女将さん、女将さん!おい、クソババア!」
「なぁにぃよぉ」
「お客様がお待ちになってやがりますでよ」
「もうぅ、うるさいわねぇ!今せっかく良いところだったのにぃ!」
「あのなぁ...!」
「あんたのような田舎っぺ、「なっ!?」拾ってやったのは、「んあ?」何処の誰かしら?口の利き方にゃ......気をつけなさいっ!」
「わーがったっつってんべ」
「さぁさ、旦那、どうぞ。温い麦酒<ビーア>は如何?」
「うーん」
「うめぇだよ」
「自慢の最高な肝臓料理<グーナレバーカッヘ>、ご用意致しましょう」
「アッーーチョッ失礼!」
「おぉう」
「ふむ、なるほど、うん、ようし貰おう!」
宵闇へ 飛び出した 女将を睨み
客は怒り おらは平謝り
「ブッ」
「ばっちぃ」
「オイオイ、どうなってるんだ!?仮にもここは酒場だろう!?」
「何言ってんだぁ、ここは宿場だぁ。すまねぇなぁ」
--そして小一時間後...
空気読まず 出戻った 女将の手には
贖罪の 新鮮な食材
「みーなさん!」
「出た!どこへ行ってた!?」
「産地直送の、レバーよお!オーッホッホッホ!」
「おお、すごい!」
その味に 怒り狂った客も 機嫌を直した
その事で 味を占めた女将の 暴走は続く......
「いやあ美味かった!ああ、素晴らしい!
こんな田舎でここまでの料理が食えるとは、ハッハッハ」
「こんな田舎で悪かったな」
「オーッホッホッホッホ!
屍体が無いなら作ればいいじゃなーい?
おらもう嫌だあ、貧しいのはあ...ひもじいのは...
あんな惨めな思いはもういやあああぁ!」
「必死に生きたけど、ロクなことがねぇ。結局、人生って何だべ...よく分かんねぇ......」
「成る程、それで君は吊された訳だね。残念ながら身に覚えのない罪で。
それが事実であれ、虚構であれ、取られたものは取り返すものさ。
さぁ、復讐劇を始めようか!」
とんとん とんとん 扉をとんとん
とんとん とんとん 扉をとんとん
とんとん とんとん 扉をとんとん
躍るよ黒い
「おらの肝臓を返せぇぇ...」
ぶ ら ん こ
「ぎゃあああああああぁ!」
「楽して儲けようとしても、中々上手く行かないものだねぇ」
「アンナ杜撰ナ計画、上手ク行ク方ガオカシイノヨォ。ウフフフフフ!」
「宵闇の風に揺れる 愉快な黒いブランコ」
ぶらん。 ぶらん。 風吹きゃ ぶらん。
踊るよ、黒いぶらんこ......。
「君は何故この境界を越えてしまったのか
さぁ、唄ってごらん」
おらは貧しい村に生まれ いっつも腹を空かせてた
お菓子で出来た家があったら あったら本当に良かんべなぁ
「人は信仰によってのみ救われる」と
偉い坊さんが言ったとさ 本っていうのに書いたとさ
神様が助けてくれるなら たらふく飯<おまんま>食えっぺな
お父達は鎌を手に 出掛けて行った
その日の空の色 哀しい程に朱く......
「みんな、行くどー!」
「ゲーフェンバウアー将軍に、続けェ!」
大砲が吼えりゃ 「翼もないのに」 人が空を飛び 「軽やかに高く」 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
嗚呼 武器が農具じゃ 「残念だけれど」 射程が短か過ぎた 「残酷な程に」 戦争とは名ばかりの 唯の殺戮さ
村の働き手は 結局その殆どが 二度とは帰って来なかった......
そしておらは、遠くの町へと売られた。
<ドイツ語>
年齢不詳。性別も不詳。出遇えば不祥。正に人生の負傷。
胡散臭い女将が、夜な夜な暗躍する宿屋。
その名を【黒狐亭】という!
「薹が立って久しい、クソババアが独り。
図太く生きてゆくには、綺麗事ばかりじゃ......ないわよっ!」
「愛した男は、皆儚く散った。運が悪いのか、時代が悪いのか......」
「嗚呼【Müntzer】は気高く、
【Hutten】は華麗で、
【Sickingen】は、嗚呼、誰よりも激しかったわ♡」
「おう、邪魔をするぞ」
「邪魔するなら帰れ」
「女将さん、女将さん!おい、クソババア!」
「なぁにぃよぉ」
「お客様がお待ちになってやがりますでよ」
「もうぅ、うるさいわねぇ!今せっかく良いところだったのにぃ!」
「あのなぁ...!」
「あんたのような田舎っぺ、「なっ!?」拾ってやったのは、「んあ?」何処の誰かしら?口の利き方にゃ......気をつけなさいっ!」
「わーがったっつってんべ」
「さぁさ、旦那、どうぞ。温い麦酒<ビーア>は如何?」
「うーん」
「うめぇだよ」
「自慢の最高な肝臓料理<グーナレバーカッヘ>、ご用意致しましょう」
「アッーーチョッ失礼!」
「おぉう」
「ふむ、なるほど、うん、ようし貰おう!」
宵闇へ 飛び出した 女将を睨み
客は怒り おらは平謝り
「ブッ」
「ばっちぃ」
「オイオイ、どうなってるんだ!?仮にもここは酒場だろう!?」
「何言ってんだぁ、ここは宿場だぁ。すまねぇなぁ」
--そして小一時間後...
空気読まず 出戻った 女将の手には
贖罪の 新鮮な食材
「みーなさん!」
「出た!どこへ行ってた!?」
「産地直送の、レバーよお!オーッホッホッホ!」
「おお、すごい!」
その味に 怒り狂った客も 機嫌を直した
その事で 味を占めた女将の 暴走は続く......
「いやあ美味かった!ああ、素晴らしい!
こんな田舎でここまでの料理が食えるとは、ハッハッハ」
「こんな田舎で悪かったな」
「オーッホッホッホッホ!
屍体が無いなら作ればいいじゃなーい?
おらもう嫌だあ、貧しいのはあ...ひもじいのは...
あんな惨めな思いはもういやあああぁ!」
「必死に生きたけど、ロクなことがねぇ。結局、人生って何だべ...よく分かんねぇ......」
「成る程、それで君は吊された訳だね。残念ながら身に覚えのない罪で。
それが事実であれ、虚構であれ、取られたものは取り返すものさ。
さぁ、復讐劇を始めようか!」
とんとん とんとん 扉をとんとん
とんとん とんとん 扉をとんとん
とんとん とんとん 扉をとんとん
躍るよ黒い
「おらの肝臓を返せぇぇ...」
ぶ ら ん こ
「ぎゃあああああああぁ!」
「楽して儲けようとしても、中々上手く行かないものだねぇ」
「アンナ杜撰ナ計画、上手ク行ク方ガオカシイノヨォ。ウフフフフフ!」