第一巻 816ページ...
こんな嵐の夜は 傷痕が疼く
右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み
誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している
残った左腕で何を為すべきかを...
不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす
確實に その時が近づいている
あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った
覺悟は決まっている まだ左腕がある...
男は扉を必死で押さえていた
扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている
それを左腕で必死に抑えていた
もうダメだ...右腕...右腕さえあれば...
男が諦めかけたその時
薄れゆく意識の中 温かい光を感じた
右手に槍を掲げ 嵐の中幾千の人々が祈っている...
あの時の子供達は皆 大人になった
雷神は右腕を失い 世界は生まれ変わった
右手が蒔いた種を育てたのは左手
そして美しい花がさく 幾千の花が咲く...
彼には勇敢な左腕と 幾千の右腕がある
決して負けはしない そんな想いが歴史を紡ぐ...
...やがて時は流れ...
「ねぇおじいちゃん、どうして?雷神様には、右手が無いの?可哀想だよ...」
と街角の子供は問う...
子供の小さな手を取り 老人は微笑んで答える
「雷神様の右手は、今もここにあるよ...ほれ、その右のポッケの中にも...」
こんな嵐の夜は 傷痕が疼く
右腕を引き千切る様な 在るはずの無い痛み
誰に話すこともなく 男はひとり苦惱している
残った左腕で何を為すべきかを...
不吉な予兆は 日に日に影を色濃く落とす
確實に その時が近づいている
あの日と同じ嵐の夜 男は人知れず旅立った
覺悟は決まっている まだ左腕がある...
男は扉を必死で押さえていた
扉の向こうは闇 邪悪な力が溢れ出ようとしている
それを左腕で必死に抑えていた
もうダメだ...右腕...右腕さえあれば...
男が諦めかけたその時
薄れゆく意識の中 温かい光を感じた
右手に槍を掲げ 嵐の中幾千の人々が祈っている...
あの時の子供達は皆 大人になった
雷神は右腕を失い 世界は生まれ変わった
右手が蒔いた種を育てたのは左手
そして美しい花がさく 幾千の花が咲く...
彼には勇敢な左腕と 幾千の右腕がある
決して負けはしない そんな想いが歴史を紡ぐ...
...やがて時は流れ...
「ねぇおじいちゃん、どうして?雷神様には、右手が無いの?可哀想だよ...」
と街角の子供は問う...
子供の小さな手を取り 老人は微笑んで答える
「雷神様の右手は、今もここにあるよ...ほれ、その右のポッケの中にも...」