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身辺抄 Lyrics

作詞:折口正記 作曲:小椋佳

造化めくチューリップの花を厭う夜
天気予報はまた雨を告ぐ
決議には間のある議論つづきゐて
窓には春がささやかれゐる
色彩のなかりし過去を省みる夜を
春の雪止む気配なし

小さき拳(て)に形となりし砂の城
上げくる潮にすでにあやふし
ゴキブリを電気掃除機に吸い込ます
戯れも暑き午後のひととき
明日をのみ追いつつゆけば
忘却という言葉さへ死語といはむか

珈琲をのみし夜更けを
再放送のテレビもいつか疎ましからず
鳴りいでし柱時計の音色さへ
意欲な今日のわれにへつらふ
計画のみに過ぎし幾つかのことありて
この秋もまた安息はなき
それぞれの形に冬の空を刺す
木枯(かれき)の道に歩み疲れき
尾を振りて寄りくる犬を突きとばす
わが裡にある何かを恐る

往来(ゆきき)なき舗道に雪の降りしきり
ときに追憶の野兎がとぶ
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