こぼれ松葉をかき集め 乙女の如き君なりき
こぼれ松葉に 火を放ち 童のごとき我なりき
童と乙女 寄りそいぬ ただ玉ゆらの 火をかこみ
うれしく二人 手をとりぬ 甲斐なきことを ただ夢み
入り日の中に たつてぶり ありや なしやと ただ ほのか
海辺の恋のはかなさは こぼれ松葉の 火なりけむ
───新潮社 『日本詩人全集17 佐藤春夫』「殉情詩集」
こぼれ松葉に 火を放ち 童のごとき我なりき
童と乙女 寄りそいぬ ただ玉ゆらの 火をかこみ
うれしく二人 手をとりぬ 甲斐なきことを ただ夢み
入り日の中に たつてぶり ありや なしやと ただ ほのか
海辺の恋のはかなさは こぼれ松葉の 火なりけむ
───新潮社 『日本詩人全集17 佐藤春夫』「殉情詩集」