黒雲を其(そ)の身に纏い
丑三(うしみ)つに囀(さえず)る
其(そ)の闇は正(まさ)に黒い
禍事(まがつごと)を山と帯びる
鳴弦(めいげん)の乾いた音に
幽(かす)かに混じりて
魂を 喚(よ)ばい戻す
寂しげな聲(こえ)が游(およ)ぐ
頤(おとがい)を 風に乗せて晒(さら)し上げる
此糸(このいと)朱(あけ)を奪う
剥き出しの肝(きも)を撫で付け
鵺(ぬえ)が嗤(わら)う 鵺(ぬえ)が唄う
「不気味に光る其(そ)の目を潰し
奇っ怪なる身体を
膾(なます)と切り刻んでも
残念乍(なが)ら無益なり。
それはぬえでは御座らぬ。」
人に隠れた鬼子(おにご)の末期(まつご)
着切(きき)る衣でふらふらと
里に紛(まぎ)れた女子(おなご)の枕
穢(あい)も哀とてはらはらと
谷(やど)に焼かれた夜盗(やとう)の弥次(やじ)は
窟(やぐら)破りてやれやれと
泡沫水泡(うたかたみなわ)の
折しも消ゆる間際
茜に射(さ)し込み
眩(く)れ逝く我を詰(なじ)る
泡沫水泡(うたかたみなわ)の
折しも消ゆる間際
尸(かばね)を鎖(さ)し籠(こ)み
真柴(ましば)に我は染まる
真柴(ましば)も朱(あけ)に染まる
鵺(ぬえ)が嗤(わら)う 鵺(ぬえ)が唄う
鵺(ぬえ)が踊る 鵺(ぬえ)が噎(むせ)ぶ
丑三(うしみ)つに囀(さえず)る
其(そ)の闇は正(まさ)に黒い
禍事(まがつごと)を山と帯びる
鳴弦(めいげん)の乾いた音に
幽(かす)かに混じりて
魂を 喚(よ)ばい戻す
寂しげな聲(こえ)が游(およ)ぐ
頤(おとがい)を 風に乗せて晒(さら)し上げる
此糸(このいと)朱(あけ)を奪う
剥き出しの肝(きも)を撫で付け
鵺(ぬえ)が嗤(わら)う 鵺(ぬえ)が唄う
「不気味に光る其(そ)の目を潰し
奇っ怪なる身体を
膾(なます)と切り刻んでも
残念乍(なが)ら無益なり。
それはぬえでは御座らぬ。」
人に隠れた鬼子(おにご)の末期(まつご)
着切(きき)る衣でふらふらと
里に紛(まぎ)れた女子(おなご)の枕
穢(あい)も哀とてはらはらと
谷(やど)に焼かれた夜盗(やとう)の弥次(やじ)は
窟(やぐら)破りてやれやれと
泡沫水泡(うたかたみなわ)の
折しも消ゆる間際
茜に射(さ)し込み
眩(く)れ逝く我を詰(なじ)る
泡沫水泡(うたかたみなわ)の
折しも消ゆる間際
尸(かばね)を鎖(さ)し籠(こ)み
真柴(ましば)に我は染まる
真柴(ましば)も朱(あけ)に染まる
鵺(ぬえ)が嗤(わら)う 鵺(ぬえ)が唄う
鵺(ぬえ)が踊る 鵺(ぬえ)が噎(むせ)ぶ